行政書士 国家試験 の 10門
第1問
Aは、B所有の甲土地上に乙建物を建てて保存登記をし、乙建物をCが使用している。この場合に関する次の記述は、民法の規定および判例に照らし、正しいでしょうか?
Aが、Bとの間の土地賃貸借契約に基づいて乙建物を建て、Cとの間の建物賃貸借契約に基づいてCに乙建物を使用させている場合、A・B間で当該土地賃貸借契約を合意解除したとしても、特段の事情のない限り、Bは、Cに対して建物の明渡しを求めることはできない。
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第2問
行政手続法における意見公募手続に関する定めについての次の記述のうち、妥当なものはどれか。
意見公募手続の対象となる命令等は、外部に対して法的拘束力を有するものに限られるから、行政処分の基準は含まれるが、行政指導の指針は含まれない。
意見公募手続における意見提出期間について、やむを得ない理由により、同法が定める期間を下回ることとされる場合には、その理由を明らかにしなければならない。
意見公募手続を実施して命令等を定めた場合には、その公布と同時期に、その題名や公示日とともに、提出された意見のうち、同一の意見が法定された数を超えたものについて、その意見を考慮した結果を公示しなければならない。
意見公募手続を実施して一般の意見を公募した以上、命令等を制定しないことは許されず、命令等を制定して、提出された意見等を公示しなければならない。
意見公募手続を実施した結果、提出された意見が法定された数に満たない場合には、緊急に命令等を定める必要がある場合を除き、再度の意見公募手続を実施しなければならない。
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第3問
ペットに関する次の記述は正しいでしょうか?
犬を新たに飼い始める場合、飼い主は住所地の市区町村に登録をしなくてはならず、同一の市区町村に住む知人からすでに登録済みの犬を譲り受けたときにも新規登録が必要である。
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第4問
許可の申請手続において、行政庁Yは審査基準を公にしないまま手続を進めて、結果として申請者Xに許可を与えなかった。この事例に関する次の記述のうち、行政手続法の条文に照らし、正しいものはどれか。
Yは公聴会を開催してXの意見を聞く法的義務を負うことから、Yが審査基準を公にしなかったことも違法とはならない。
行政庁が審査基準を公にすることは努力義務に過ぎないことから、Yが審査基準を公にしなかったことも違法とはならない。
Xは情報公開法に基づき情報公開請求をして審査基準を閲覧できることから、Yが審査基準を公にしなかったことも違法とはならない。
審査基準は、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りることから、Xが審査基準の提示をYに求めなかったのであれば、Yが審査基準を公にしなかったことも違法とはならない。
審査基準を公にすると行政上特別の支障が生じるのであれば、Yが審査基準を公にしなかったことも違法とはならない。
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第5問
婚姻および離婚に関する次の記述は、民法の規定に照らし、正しいでしょうか?
協議離婚をしようとする夫婦に未成年の子がある場合においては、協議の上、家庭裁判所の許可を得て、第三者を親権者とすることを定めることができる。
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第6問
国家賠償法に関する次の記述は、最高裁判所の判例に照らし、正しいでしょうか?
市町村が設置する中学校の教諭がその職務を行うについて故意又は過失によって違法に生徒に損害を与えた場合において、当該教諭の給料等を負担する都道府県が1条1項、3条1項に従い上記生徒に対して損害を賠償したときは、当該都道府県は、賠償した損害につき、3条2項に基づき当該中学校を設置する市町村に対して求償することはできない。
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第7問
Aが自己所有の甲土地をBに売却する旨の契約(以下、「本件売買契約」という。)が締結された。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。
AはBの強迫によって本件売買契約を締結したが、その後もBに対する畏怖の状態が続いたので取消しの意思表示をしないまま10年が経過した。このような場合であっても、AはBの強迫を理由として本件売買契約を取り消すことができる。
AがBの詐欺を理由として本件売買契約を取り消したが、甲土地はすでにCに転売されていた。この場合において、CがAに対して甲土地の所有権の取得を主張するためには、Cは、Bの詐欺につき知らず、かつ知らなかったことにつき過失がなく、また、対抗要件を備えていなければならない。
AがDの強迫によって本件売買契約を締結した場合、この事実をBが知らず、かつ知らなかったことにつき過失がなかったときは、AはDの強迫を理由として本件売買契約を取り消すことができない。
AがEの詐欺によって本件売買契約を締結した場合、この事実をBが知っていたとき、または知らなかったことにつき過失があったときは、AはEの詐欺を理由として本件売買契約を取り消すことができる。
Aは未成年者であったが、その旨をBに告げずに本件売買契約を締結した場合、制限行為能力者であることの黙秘は詐術にあたるため、Aは未成年者であることを理由として本件売買契約を取り消すことはできない。
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第8問
株式会社の設立における出資等に関する次の記述は、会社法の規定に照らし、妥当でしょうか?
設立時発行株式の総額は、設立しようとする会社が公開会社でない場合を除いて、発行可能株式総数の4分の1を下ることはできない。
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第9問
行政不服審査法(以下「行審法」という。)と行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)の比較に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
行訴法は、行政庁が処分をすべき旨を命ずることを求める訴訟として「義務付けの訴え」を設けているが、行審法は、このような義務付けを求める不服申立てを明示的には定めていない。
行審法は、同法にいう処分には公権力の行使に当たる事実上の行為で継続的性質を有するものが含まれると定めているが、行訴法は、このような行為が処分に当たるとは明示的には定めていない。
行訴法は、取消訴訟の原告適格を処分等の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」に認めているが、行審法は、このような者に不服申立て適格が認められることを明示的には定めていない。
行訴法は、訴訟の結果により権利を害される第三者の訴訟参加に関する規定を置いているが、行審法は、利害関係人の不服申立てへの参加について明示的には定めていない。
行訴法は、取消訴訟における取消しの理由の制限として、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由とすることはできないと定めているが、行審法は、このような理由の制限を明示的には定めていない。
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第10問
公法と私法に関する次の記述のうち、法令または最高裁判所の判例に照らし、正しいものはどれか。
公立病院において行われる診療に関する法律関係は、本質上私法関係と解されるので、公立病院の診療に関する債権の消滅時効は、地方自治法の規定ではなく、民法の規定に基づいて判断される。
一般職の地方公務員については、その勤務関係が公法的規律に服する公法上の関係であるので、私法的規律である労働三法(労働基準法、労働組合法、労働関係調整法)はすべて適用されない。
地方公共団体が事業者との間で締結する公害防止協定については、公法上の契約に該当すると解されるので、根拠となる条例の定めがない限り、当該協定に法的拘束力は生じない。
公営住宅の使用関係については、原則として公法関係と解されるので、法令に特別の定めがない限り、民法の規定は適用されない。
国の金銭債権は、私法上のものであっても、その消滅時効については、法令に特別の定めがない限り、すべて会計法の規定に基づいて判断される。