行政書士 国家試験 の 10門
第1問
行政法における信頼保護に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、正しいものはどれか。
地方公共団体が、将来にわたって継続すべき一定内容の施策を決定した後に、社会情勢の変動等が生じたとしても、決定された施策に応じた特定の者の信頼を保護すべき特段の事情がある場合には、当該地方公共団体は、信義衡平の原則によりー度なされた当該決定を変更できない。
公務員として採用された者が有罪判決を受け、その時点で失職していたはずのところ、有罪判決の事実を秘匿して相当長期にわたり勤務し給与を受けていた場合には、そのような長期にわたり事実上勤務してきたことを理由に、信義誠実の原則に基づき、新たな任用関係ないし雇用関係が形成される。
課税処分において信義則の法理の適用により当該課税処分が違法なものとして取り消されるのは、租税法規の適用における納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお、当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に限られる。
課税庁が課税上の取扱いを変更した場合において、それを通達の発出などにより納税者に周知する措置をとらなかったとしても、そのような事情は、過少申告加算税が課されない場合の要件として国税通則法に規定されている「正当な理由があると認められる」場合についての判断において考慮の対象とならない。
従来課税の対象となっていなかった一定の物品について、課税の根拠となる法律所定の課税品目に当たるとする通達の発出により新たに課税の対象とすることは、仮に通達の内容が根拠法律の解釈として正しいものであったとしても、租税法律主義及び信義誠実の原則に照らし、違法である。
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第2問
行政立法に関する次の記述は、最高裁判所の判例に照らし、正しいでしょうか?法令および省庁名は当時のものである。
教科書検定につき、文部大臣が、学校教育法88条*の規定に基づいて、文部省令、文部省告示により、審査の内容及び基準並びに検定の施行細則である検定の手続を定めたことは、法律の委任を欠くとまではいえない。
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第3問
日本の政治資金に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
政党への公的助成である政党交付金の総額は、人口に250円を乗じて得た額を基準として予算に定めることとされている。
政党交付金は、国会に一定の議席を持つ受給資格のある全政党が受給しており、それらの政党では政治資金源の約半分を政党交付金に依存している。
政府は、政治腐敗防止のために政治資金規正法の制定を目指したが、国会議員からの反対が強く、まだ成立には至っていない。
政党への企業・団体献金は、政治腐敗防止のために禁止されているが、違法な政治献金が後を絶たない。
政治資金に占める事業収入の割合は、政党交付金の受給資格がある全政党で極めて低くなっている。
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第4問
債務引受および契約上の地位の譲渡(契約譲渡)に関する次の記述のは、判例に照らし、妥当でしょうか?
免責的債務引受は、債権者と引受人のみの契約でなすことはできず、債務者(原債務者)を含む三者間の契約でしなければならない。
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第5問
国家賠償法に関する次の記述は、最高裁判所の判例に照らし、正しいでしょうか?
1条1項に基づく国家賠償請求については、国または公共団体が賠償の責に任ずるのであって、公務員が行政機関としての地位において賠償の責任を負うものではなく、また公務員個人もその責任を負うものではないから、行政機関を相手方とする訴えは不適法であり、公務員個人を相手方とする請求には理由がない。
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第6問
債権の準占有者に対する弁済等に関する次の記述は、民法の規定および判例に照らし、妥当でしょうか?
他人名義の定期預金通帳と届出印を盗んだ者が銀行の窓口で本人と称して銀行から定期預金を担保に融資を受けたが、弁済がなされなかったため、銀行が当該貸金債権と定期預金債権とを相殺した場合に、銀行が、上記の事実につき善意であり、かつ過失がなければ、当該相殺は、債権の準占有者への弁済の規定の類推適用により有効な相殺となる。
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第7問
いわゆる申請型と非申請型(直接型)の義務付け訴訟について、行政事件訴訟法の規定に照らし、妥当な記述はどれか。
申請型と非申請型の義務付け訴訟いずれにおいても、一定の処分がされないことにより「重大な損害を生ずるおそれ」がある場合に限り提起できることとされている。
申請型と非申請型の義務付け訴訟いずれにおいても、一定の処分をすべき旨を行政庁に命ずることを求めるにつき「法律上の利益を有する者」であれば、当該処分の相手方以外でも提起することができることとされている。
申請型と非申請型の義務付け訴訟いずれにおいても、一定の処分がされないことによる損害を避けるため「他に適当な方法がないとき」に限り提起できることとされている。
申請型と非申請型の義務付け訴訟いずれにおいても、「償うことのできない損害を避けるため緊急の必要がある」ことなどの要件を満たせば、裁判所は、申立てにより、仮の義務付けを命ずることができることとされている。
申請型と非申請型の義務付け訴訟いずれにおいても、それと併合して提起すべきこととされている処分取消訴訟などに係る請求に「理由がある」と認められたときにのみ、義務付けの請求も認容されることとされている。
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第8問
就労に関する次の記述は妥当でしょうか?
雇止めとは、期間の定めのある雇用契約において、使用者もしくは労働者の希望により契約が更新されないことをいう。
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第9問
行政不服審査法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
審査請求が法定の期間経過後にされたものであるとき、その他不適法であるときは、審査庁は、棄却裁決を行う。
処分についての審査請求に理由があるときは、審査庁は、当該処分の取消しのみならず、処分庁に代わって一定の処分を行うことができる。
不作為についての審査請求に理由があるときは、審査庁は、当該不作為庁に対しすみやかに申請に対するなんらかの行為をすべきことを命ずるとともに、裁決でその旨を宣言する。
不作為について異議申立てがなされた場合、不作為庁は、当該異議申立てが不適法でない限り、不作為の違法を確認する決定を行うか、異議申立てを棄却する決定を行う。
事情裁決は、行政事件訴訟法の定める事情判決と同様、処分が違法であるときに一定の要件の下で行われるものであって、処分が違法ではなく、不当であるにとどまる場合において行われることはない。
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第10問
債務引受および契約上の地位の譲渡(契約譲渡)に関する次の記述のは、判例に照らし、妥当でしょうか?
賃貸借の目的となっている不動産の所有者がその所有権とともに賃貸人の地位を他に譲渡することは、賃貸人の義務の移転を伴うから、賃借人の承諾を必要とし、新旧所有者間の契約ですることはできない。