行政書士 国家試験 の 5門
第1問
労働組合の活動に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。
組合員の生活向上のために、統一候補を決定し、組合を挙げてその選挙運動を推進することなども労働組合の活動として許されるので、組合の方針に反し対立候補として立候補した組合員を統制違反者として処分することも許される。
労働者の権利利益に直接関係する立法や行政措置を促進し、またはこれに反対する活動は、政治活動としての一面をもち、組合員の政治的思想・見解等とも無関係ではないが、労働組合の目的の範囲内の活動とみることができるので、組合員に費用負担などを求めることも許される。
国民全体の奉仕者である公務員の争議行為を禁止すること自体は憲法に違反しないが、争議行為をあおる行為の処罰が憲法上許されるのは、違法性が強い争議行為に対し、争議行為に通常随伴しない態様で行われる場合に限られる。
公務員の争議行為は禁止されているが、政治的目的のために行われる争議行為は、表現の自由としての側面も有するので、これを規制することは許されない。
人事院勧告は公務員の争議行為禁止の代償措置であるから、勧告にしたがった給与改定が行われないような場合には、それに抗議して争議行為を行った公務員に対し懲戒処分を行うことは許されない。
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第2問
【原告適格に関する最高裁判所の判決について】公衆浴場法の適正配置規定は、許可を受けた業者を濫立による経営の不合理化から守ろうとする意図まで有するものとはいえず、適正な許可制度の運用によって保護せらるべき業者の営業上の利益は単なる事実上の反射的利益にとどまるから、既存業者には、他業者への営業許可に対する取消訴訟の原告適格は認められない。
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第3問
鉄道事業者Xが輸送の安全対策を疎かにして多数の鉄道事故を引き起こしたことから、Y(国土交通大臣)はXに対して鉄道事業法に基づく事業改善命令を行うとともに(法23条)、Xの安全統括管理者(鉄道事業者が、輸送安全に関する業務を統括管理させるため、事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にあり、かつ、鉄道事業に関する一定の実務の経験その他の国土交通省令で定める要件を備える者のうちから選任する者をいう)の解任を命じることとした(法18条の3第7項) 。この事例に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、鉄道事業法には、行政手続きや訴訟に関する特段の定めはない。
Yが事業改善命令を行うに際して、当該命令が許認可の取消しに相当するほどの重大な損害をXに与える場合には、行政手続法に基づき、Xに対して、聴聞を実施しなければならない。
Yが事業改善命令を行うに際して、公益上、緊急にこれをする必要がある場合には、行政手続法に基づき、Xに対して、聴聞に換えて、より簡易な手続である弁明の機会の付与の手続をとらなければならない。
Yが業務改善命令を行わない旨を決定した場合、それによって安全を脅かされる利用者は、これに対して取消訴訟を提起することができる。
Yが安全統括管理者の解任命令を行った場合、Xの法的地位が侵害されるわけではないから、Xには当該命令に対する取消訴訟を提起する原告適格は認められない。
Yが安全統括管理者の解任命令を行うに際しては、当該命令の許認可の取消しには当たらないものの、行政手続法に基づき、Xに対して、聴聞を実施しなければならない。
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第4問
債権の準占有者に対する弁済等に関する次の記述は、民法の規定および判例に照らし、妥当でしょうか?
他人名義の定期預金通帳と届出印を盗んだ者が銀行の窓口で本人と称して、定期預金契約時になされた定期預金の期限前払戻特約に基づいて払戻しを受けた場合に、銀行がそのことにつき善意であり、かつ過失がなければ、当該払戻しは、債権の準占有者への弁済として有効な弁済となる。
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第5問
【原告適格に関する最高裁判所の判決について】森林法の保安林指定処分は、一般的公益の保護を目的とする処分であるから、保安林の指定が違法に解除され、それによって自己の利益を侵害された者であっても、解除処分に対する取消しの訴えを提起する原告適格は認められない。