行政書士 国家試験 の 10門
第1問
住民基本台帳ネットワークシステム及び住民基本台帳カードに関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
住民基本台帳カードの発行手数料は無料であり、発行にかかる費用は、市区町村、都道府県、国で負担している。
住民基本台帳ネットワークシステムは、市区町村、都道府県、国の各省庁を専用のネットワーク回線により接続し、住民の基本5情報(氏名、住所、生年月日、性別、本籍)を参照し合うシステムである。
銀行口座開設を行う際には、写真付き住民基本台帳カードを公的な身分証明書として利用することができる。
住民基本台帳ネットワークシステムに対しては、2008年に最高裁判所によって合憲判決が下されているにもかかわらず、同システムから脱退する市区町村が増加している。
外国人住民は、住民基本台帳制度の適用対象者でないため、数年にわたり日本に在住していたとしても、住民基本台帳カードの交付を申請することはできない。
行政書士 国家試験 の 10門
第2問
行政調査に関する次の記述は、正しいでしょうか?争いがある場合には最高裁判所の判例の立場による。
法律の規定を設ければ、行政調査に応じなかったことを理由として、刑罰を科すなど、相手方に不利益を課すことも許される。
行政書士 国家試験 の 10門
第3問
ペットに関する次の記述は正しいでしょうか?
ペットショップの営業時間に関する規制はないが、深夜に犬や猫を展示したり、顧客に引き渡すことは、認められていない。
行政書士 国家試験 の 10門
第4問
行政不服審査法に基づく審査請求の教示義務に関する次の記述は正しいでしょうか?
処分庁が誤って審査請求すべき行政庁でない行政庁を教示し、当該行政庁に審査請求書が提出された場合、当該行政庁は処分庁または本来の審査請求すべき行政庁に審査請求書を送付しなければならない。
行政書士 国家試験 の 10門
第5問
会社法上の公開会社における資金調達に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、正しいものはどれか。
特定の者を引受人として募集株式を発行する場合には、払込金額の多寡を問わず、募集事項の決定は、株主総会の決議によらなければならない。
株主に株式の割当てを受ける権利を与えて募集株式を発行する場合には、募集事項の通知は、公告をもってこれに代えることができる。
募集株式一株と引換えに払い込む金額については、募集事項の決定時に、確定した額を決定しなければならない。
会社が委員会設置会社である場合には、取締役会決議により、多額の借入れの決定権限を執行役に委任することができる。
募集社債の払込金額が募集社債を引き受ける者に特に有利な金額である場合には、株主総会の決議によらなければならない。
行政書士 国家試験 の 10門
第6問
Aが自己所有の事務機器甲(以下、「甲」という。)をBに売却する旨の売買契約(以下、「本件売買契約」という。)が締結されたが、BはAに対して売買代金を支払わないうちに甲をCに転売してしまった。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。
Aが甲をすでにBに引き渡しており、さらにBがこれをCに引き渡した場合であっても、Aは、Bから売買代金の支払いを受けていないときは、甲につき先取特権を行使することができる。
Aが甲をまだBに引き渡していない場合において、CがAに対して所有権に基づいてその引渡しを求めたとき、Aは、Bから売買代金の支払いを受けていないときは、同時履行の抗弁権を行使してこれを拒むことができる。
本件売買契約において所有権留保特約が存在し、AがBから売買代金の支払いを受けていない場合であったとしても、それらのことは、Cが甲の所有権を承継取得することを何ら妨げるものではない。
Aが甲をまだBに引き渡していない場合において、CがAに対して所有権に基づいてその引渡しを求めたとき、Aは、Bから売買代金の支払いを受けていないときは、留置権を行使してこれを拒むことができる。
Aが甲をまだBに引き渡していない場合において、Bが売買代金を支払わないことを理由にAが本件売買契約を解除(債務不履行解除)したとしても、Aは、Cからの所有権に基づく甲の引渡請求を拒むことはできない。
行政書士 国家試験 の 10門
第7問
A電力株式会社は、新たな原子力発電所の設置を計画し、これについて、国(原子力規制委員会)による原子炉等規制法 * に基づく原子炉の設置許可を得て、その建設に着手した。これに対して、予定地の周辺に居住するXらは、重大事故による健康被害などを危惧して、その操業を阻止すべく、訴訟の提起を検討している。この場合の訴訟について、最高裁判所の判例に照らし、妥当な記述はどれか。
当該原子炉の設置については、原子炉等規制法に基づく許可がなされている以上、Xらは、国を被告とする許可の取消訴訟で争うべきであり、Aを被告とする民事訴訟によってその操業の差止めなどを請求することは許されない。
事故により生命身体の安全に直截的かつ重大な被害を受けることが想定される地域にXらが居住していたとしても、そうした事故発生の具体的な蓋然性が立証されなければ、原子炉設置許可の取消しを求めて出訴するXらの原告適格 は認められない。
原子炉設置許可の取消訴訟の係属中に原子炉の安全性についての新たな科学的知見が明らかになった場合には、こうした知見が許可処分当時には存在しなかったとしても、裁判所は、こうした新たな知見に基づいて原子炉の安全性を判断することが許される。
原子炉の安全性の審査は、極めて高度な最新の科学的、専門技術的知見に基づいてなされるものであるから、そうした審査のために各分野の学識経験者等が作成した具体的な審査基準については、その合理性を裁判所が判断することは許されない。
原子炉設置許可は、申請された計画上の原子炉の安全性を確認するにすぎず、実際に稼働している原子炉が計画どおりの安全性を有しているか否かは許可の有無とは無関係であるから、工事が完了して原子炉が稼働すれば、許可取消訴訟の訴えの利益は失われる。
行政書士 国家試験 の 10門
第8問
株式会社の設立における出資等に関する次の記述は、会社法の規定に照らし、妥当でしょうか?
発起人または設立時募集株式の引受人が払い込む金銭の額および給付する財産の額の合計が、定款に定められた設立に際して出資される財産の価額またはその最低額に満たない場合には、発起人および設立時取締役は、連帯して、その不足額を払い込む義務を負う。
行政書士 国家試験 の 10門
第9問
私法上の法律関係における憲法の効力に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、正しいものはどれか
私人間においては、一方が他方より優越的地位にある場合には私法の一般規定を通じ憲法の効力を直接及ぼすことができるが、それ以外の場合は、私的自治の原則によって問題の解決が図られるべきである。
私立学校は、建学の精神に基づく独自の教育方針を立て、学則を制定することができるが、学生の政治活動を理由に退学処分を行うことは憲法19条に反し許されない。
性別による差別を禁止する憲法14条1項の効力は労働関係に直接及ぶことになるので、男女間で定年に差異を設けることについて経営上の合理性が認められるとしても、女性を不利益に扱うことは許されない。
自衛隊基地建設に関連して、国が私人と対等な立場で締結する私法上の契約は、実質的に公権力の発動と同視できるような特段の事情がない限り、憲法9条の直接適用を受けない。
企業者が、労働者の思想信条を理由に雇い入れを拒むことは、思想信条の自由の重要性に鑑み許されないが、いったん雇い入れた後は、思想信条を理由に不利益な取り扱いがなされてもこれを当然に違法とすることはできない。
行政書士 国家試験 の 10門
第10問
行政契約に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。見解が分かれる場合は、最高裁判所の判例による。
行政契約でも、その内容が国民に義務を課したり、その権利を制限するものについては、法律の留保の原則に関する侵害留保理論に立った場合、法律の根拠が必要であると解される。
地方公共団体が、地方自治法上、随意契約によることができない場合であるにもかかわらず、随意契約を行ったとしても、かかる違法な契約は、私法上、当然に無効となるものではない。
地方公共団体がごみ焼却場を建設するために、建設会社と建築請負契約を結んだ場合、ごみ焼却場の操業によって重大な損害が生ずるおそれのある周辺住民は、当該契約の締結行為について、当該地方公共団体を被告として、抗告訴訟としての差止めの訴えを提起することができる。
地方公共団体の長が、指名競争入札の際に行う入札参加者の指名に当たって、法令の趣旨に反して域内の業者のみを指名する運用方針の下に、当該運用方針に該当しないことのみを理由に、継続して入札に参加してきた業者を指名競争入札に参加させない判断をしたとしても、その判断は、裁量権の逸脱、濫用には当たらず、違法ではない。
地方公共団体が、産業廃棄物処理施設を操業する企業との間で、一定の期日をもって当該施設の操業を停止する旨の公害防止協定を結んだものの、所定の期日を過ぎても当該企業が操業を停止しない場合において、当該地方公共団体が当該企業を被告として操業差止めを求める訴訟は、法律上の争訟に該当せず、不適法である。